Kohei Yamamoto


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【勝手に翻訳】ロックダウンを生き抜くコツを宇宙飛行士に学ぶ

宇宙はロマンに満ちた最後のフロンティアかもしれないが、地球を離れての生活は同時に、きわめて厳しいものになりうる。生命を維持するための長大で事細かな必要事項と、軌道を行き来する高額な費用のゆえ、宇宙で働き生活することは、今のところ長期にわたって窮屈な場所でやりくりすることとイコールだ。

最近は地球でも、コロナウイルスの拡散と医療システムの崩壊を防ぐために、何週も、場合によっては何ヶ月もの間、外出の自粛を要請されたり、外出を禁止されたりする人が増えている。

つまり、いまや地球上で何百万もの人びとが、宇宙飛行士と似たような軟禁状態にあるわけだ。そこで、この状況を見た何人もの宇宙飛行士が、自らの経験から得たアドバイスを提示してくれた。それはとくに、孤立した空間で他人とうまくやっていくことに関するものだ。

ここでは、NASAやその他の宇宙機関が誇る優れた宇宙飛行士たちによる、もっとも賢明で分別のあるアドバイスをいくつか紹介しよう。

スコット・ケリー:「“ゲーム・オブ・スローンズ”全シーズン一気見しましたね――それも2回」

国際宇宙ステーションでほぼ1年を過ごしたスコット・ケリーは、ニューヨーク・タイムズの意見記事で、「決して楽なことじゃなかったですよ」と断りつつも、いくつものコツを教えてくれている。「スケジュールを立て、それを厳守する」というのがその1つだ。

ケリーによれば、「立てたスケジュールを維持することで、あなたも家族も新たな家庭環境に適応しやすくなるでしょう」とのことだ。そして、「私が地球に帰ってくると、宇宙ステーションにいた頃のようなきっちり決まったスケジュールがないので、すごくやりにくい気がしたものです」という。

さらにケリーは、仕事にばかり時間を取られず、自分のペースで進めることが大事だという。

「娯楽の時間を持ちましょう。宇宙ステーションでは、乗組員たちとスナック片手に映画パーティを開いて、“ゲーム・オブ・スローンズ”全話を一気に観たこともありました――まあ、2周観ましたけどね」。

ケリーにはできなかった大事なこと:新鮮な空気を吸おう!

もう1つケリーが勧めるのが「表に出よう」ということだ。「緑の色、新鮮な土の匂い、顔に降り注ぐ日光……何ヶ月も狭い空間に閉じ込められていると、本当に自然が恋しくて」。

ケリーはさらに、娯楽のため宇宙に紙の本を持っていったという(打ち上げにかかるコストを考えると、安いとは言えない積荷だ)。

「お知らせを表示して注意をそらしたり、新規タブを開かせようとしない、紙の本だからこそ得られる落ち着きと没頭。これは何ものにも代えがたいものです」

ペギー・ウィットソン:「効果的なコミュニケーションを身に着けましょう」

もっとも熟練した宇宙飛行士の1人であるペギー・ウィットソンは、CBSディスモーニングの取材にこたえて、長いあいだ隔離された生活を送ることは「じゅうぶん可能」だし、実際に宇宙ステーションで退屈したことはない、と話している。

「在宅勤務をしながら同時に家族と過ごすということに、たくさんの人が困難を感じているようです。でも、国際宇宙ステーションではそれが普通なんですね」とウィットソンはいう。「軌道上では宇宙ステーションの乗組員たちは家族ですし、同時に彼らとともに働かなければなりません。夜になったから家に帰るね、なんていうわけにはいかないわけです」。

仕事も日常生活も共有するこのような相互関係を円滑にするために大事なのは、はっきりとしていて素直でいることだという。

「効果的なコミュニケーションができるようになる必要があります。それがまず何より大事です。“私たちは意思を伝えあってるんだよ”ということを常にみんなが分かっていて、個々の頭の中にある意思がちゃんと伝達されているということを明確にさせておかないといけないのです。」

希望の兆しを見出すのもいいけど、「高次の目標」を吟味することも大事

「チームの目標がもっとも大事だという観点からすれば、コロナウイルスはとても大きな目標を与えてくれるものじゃないでしょうか」とウィットソンは指摘する。「隔離された生活を送ることで、私たちは人命を救っているのです。その大きな目標を理解し、今の状況に耐える理由と根拠を実感しましょう」。

さらにウィットソンによれば、少なくとも隔離されている一部の人びとにとって、新たに手に入った時間は1つの贈り物だ。

「最近、私たちの生活は慌ただしくて雑然としています。もっと時間に余裕があったら、あなたは何をしますか? 頭のどこかで、“これをやってみたかったんだけど、時間がなかったんだよね”と思うことってありませんか?」

アン・マクレイン:「良いEB」を!

宇宙ステーションから最近かえってきたマクレインは、5つの「派遣部隊の行動(expeditionary behavior; EB)」のスキルがお気に入りだ。

1つめは、円滑なコミュニケーションだ。これはウィットソンも言っていたことだが、マクレインはより具体的に、話をよく聞くこと、ボディ・ランゲージに気づくこと、対立を見つけ出し、話し合って解決することを挙げる。

「行動を起こす前に、意思をはっきり述べましょう。誤解を招かない言葉を使うこと。そして、期待と違う行動をとる人がいたらちゃんと話し合うことが大事です」(マクレインがTwitterに投稿したものを転載しているNASAのブログより)。

マクレインが隔離された生活において他に重要だと言うEBは、リーダーシップとフォロワーシップだ。

「目標を決めてタスクを割り当てること。具体例を挙げて指導すること。方向性を示し、情報やフィードバック、コーチングや励ましを与えること。チームメートのリソースを確保すること。何かがうまくいっていないと思ったら話し合うこと。分からないことは質問すること。問題を指摘するだけじゃなくて、解決策も提案すること」。

違いを認め合うだけでなく、自身とチームのことも気づかう

マクレインは「セルフケア」も重視しているが、彼女が言っているのは衛生面だけの話ではない。気分や行動計画を自らきちんとチェックすることも大事なのだ。

「自分の弱みとか、今の気持ちをオープンにしましょう。ストレスや後ろ向きな気持ちを和らげるために、行動を起こすのです(チームに押し付けるのではなくて)。社交的になって。フィードバックを自分から求めましょう。そして、仕事と休憩とパーソナルな時間のバランスをとること。計画的に行動することも忘れずに。」

マクレインいわく、チームを健全に保つために大事なことは、家族や重要な他者、ルームメイトの場合と同じことだ。つまり、「ポジティブな関係を構築すること。人がやりたがらない仕事を買って出ること。人を手助け、助けてもらえるときはそれを受け入れること。手柄はみんなで分かち合い、責任をなすりつけないこと」。

彼女はさらに「協力はつねに競争に勝る」と言う。

「自分の行動にはちゃんと説明責任を負い、仲間の行動には惜しみなく称賛を。そしてチーム全体のポジティブな態度を保ちましょう。意見が対立したときは落ち着いて」。

クリス・ハットフィールド「ただ恐れるのではなく」

「僕はちょっと宇宙船に乗って隔離されてたことがあるんだけどね」とこの週末に投稿されたYouTube動画で語るのは、カナダ宇宙庁で宇宙飛行士を務めていたハットフィールドだ。

ハットフィールドによれば、宇宙は危険なところではあるけれど、乗組員たちは「普通の暮らしからかけ離れたところでも生産的にうまくやり抜く方法を見つけ出すものだ」という。

宇宙で生産的に働く上で(そして地球上でも)役に立つ心構えとは、自分が直面しているリスクを理解するために信用できる情報源を探すことだ、という。

「ただ恐れるのではなく」というわけだ。

さらに3つのルール:ゴールを選び、制約を吟味し……行動を起こす

「達成したいことは何か? 自分の目標は何か? 今の自分のミッションは何か? 今日の午後の目標は、今週の目標は、来月までの目標は……こういうことを明確にするんだ」

ただし、ハットフィールドによれば、お金や時間のように、その目標を追求する上で制約になるものを吟味しておくことも必要だ。

こうして目標と制約を整理したら、行動を起こすことが肝要だ。

「事を起こそう。過去にいつもやっていたようなことじゃなくていい。これまでとは違うことをやるチャンスなんだ」。

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